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復活宣言 マイルの武南

2012.05.20
復活宣言 マイルの武南

『早い奴が勝つ』

ゴールラインで結果だけ見れば…ただ、それだけのことかもしれません。
しかし、その一瞬の勝負の裏に隠された
日々の努力、作戦と駆け引き、勝利への情熱を、
尾花監督のレポートは心地よい感動とともに、
毎回読み手に伝えてくれます。
力強い宣言も飛び出した埼玉県大会レポートをお楽しみください。



陸上競技部の顧問の尾花です。いつも陸上競技部の活動にたくさんのご声援をいただき感謝申し上げます。

今年もまたインターハイへ向けて競技会が始まりました。毎年のことながら、例年にも増して今年もハイレベルな競技が全国各地で繰り広げられています。今年のインターハイは“北信越かがやき総体”ということで新潟・長野・富山・福井・石川の5県で開催されます。その中で陸上競技は新潟県新潟市の東北電力ビッグスワンスタジアムでの開催となります。したがってROAD TO NIIGATAです。毎年、紹介させていただいてますが、高校の陸上競技はインターハイに出場するには、まず県大会で6位(競歩・混成競技をのぞく)、そのあとブロック大会で6位に入らなければなりません。埼玉県は北関東ブロックに属しており、茨城・群馬・栃木の選手と全国大会を目指して鎬を削るのです。その北関東大会を目指した熱い埼玉県予選会が5月12日〜15日まで熊谷市で開催されました。今年は冬期練習も順調に進み、春の記録会もまずまずの出来でしたので、例年以上に関東大会へ多くいけると確信していました。しかしながら、毎年のことですが、レース・競技は戦前の予想通りにはいきません。結局はここ数年では最少の2種目のみでの関東出場決定となってしまいました。まずは、その点において監督として残念であり、指導者としての未熟さを痛感しております。

さて、出場権を獲得した2種目ですが、すでに埼玉新聞の報道にも紹介されたように、初日の男子400mの伊藤健太(3年)と最終日の男子4×400mリレーです。結果は両種目とも26年ぶりの優勝ということになりました。

今年は春先から、水泳部の大塚さんのロンドンオリンピック出場、サッカー部の10年ぶりの関東大会出場、そして柔道部も3年連続の関東出場を決めており、その流れを陸上競技部が途絶えさせてはならないと思っていたのですが、リレー優勝という形で繋げられたのは本校の運動部顧問として素直に嬉しいことであると同時にホッとしています。これからも学校全体がもっともっとスポーツで盛り上がり活気のある学校にしていきたいと思います。そして活気のある学校になってこそ、きっと進学実績や学力向上に繋がるものだと確信しています。

では優勝した2種目を振り返ります。

初日の400mは、信じられないような強風の中でした。





そうでなくてもトラック種目では一番きついとされる400mは、風が吹くとさらにきつい種目であり、この日の熊谷は晴れていたものの、時折、まさに突風が吹き荒れる天気でした。しかも走った選手によるとトラック1周、常に向かい風のような状態で全く前に進まなかったようです。本校からは伊藤を含め3名の選手が出場し上位進出を狙っていたのですが、3名とも本当にきつかったようです。まさに選手泣かせのコンディションでした。その中で、きちんと結果を出した伊藤健太は、持ち記録、実績からも優勝は当然でしたが、好タイムを期待したのですが、やはりタイムに関しては全くのお手上げ状態でした。それでも、2位の選手には0.5秒以上の差をつけての勝利は、タイム以上に強い内容だったと思います。好記録誕生は次の北関東大会に期待します。


 
高校陸上競技のリレーは、オリンピック・世界陸上と同じように一人100mずつ走り四人で合計400mを走る、4×100mリレーのいわゆる“4継”と一人が400mを走り四人で1600mを走る、4×400mリレーのいわゆる“マイル”があります。もちろん、どちらもリレーですから盛り上がりますし、リレーでの関東や全国出場は個人の出場の喜びの比ではありません。それだけにどの学校もリレーにかける情熱は並大抵のものではありません。日程上、“4継”は前半に組まれます。今回は四日間開催ですので前半の二日目に決勝が行われました。ここで6位以内が決まるとチームに勢いがつき、盛り上がるのですが、本校の“4継チーム”はここに来て急上昇しチーム新を出し決勝進出を果たしましたが、昨年に続いて無念の7位となってしまいました。しかし、4名中3名が2年生であり、秋、そして来年に十分期待が持てるチームです。



“マイル”は女子・男子共に最終日の最終種目、競技会のファイナルとして実施されます。故に、このマイルリレーでの6位入賞による関東出場、関東での6位入賞によるインターハイ出場決定による喜びは言葉ではなかなか表現できないほどです。それが優勝となると、そのうれしさは総合優勝に匹敵するくらいだと、昔、我が恩師に言われたことがあります。その我が恩師が監督だった頃の武南のマイルチームは、県内で一時代を築き無敵を誇ったこともあり、全国の頂点を狙うまでになり、“マイルの武南”と呼ばれていました。私も、その“マイルの武南”に憧れ入学し、その魅力に取り憑かれて、現役時代からマイルリレーの頂点を目指してきました。残念ながら、自分自身ではそれを経験することなく引退し指導者になりました。そして、いつか必ず埼玉のチャンピオンチームを育てると思い指導を始めました。しかしながら、言うは易く、行うは難しの言葉通り、この種目での県内での優勝はおろか入賞もできずに20年近くの歳月が過ぎ、いつしか“マイルの武南”と呼ばれたフレーズもすっかり錆び付いていました。
 
そんな中、現在の3年生の主力である伊藤健太と陰山東洋が入学してきたのが2年前です。その時に、必ず彼らが3年生の時には“マイルの武南”を復活させると決意しました。しかしながら、その後も決して順調に来たわけではなく(詳しくは過去の武南ブログをお読みください)、昨年、久しぶりのインターハイ出場を果たしたものの、悔しい思いばかりで終わった1年でした。ですから3年生にとってラストイヤーとなる今年は、絶対にマイルだけは勝つんだという強い思いでメンバー達とも練習だけでなく何度もミーティングを重ねてきました。その分、今回の優勝はうれしさもひとしおです。

昨年の秋、関東新人で決勝に進出したものの、決勝直前に選手がコンディションを崩した上に、補欠選手も走ることができない事態になりました。うちのウィークポイントであるフィジカル面の弱さと、チームの層の薄さが浮き彫りになった試合でした。それを解消すべく冬期練習からトレーニングメニューを見直し怪我をしない体を作ることに重点を置いてきました。また、2チーム作れるくらいの層の厚さにするべく新入生の補強にも力を入れました。



今回1走をつとめた白幡大輝はその1人です。中学卒業後にチームに合流して2ヶ月、武南高校に入学してまだ約1ヶ月ですが、昨年の県中学チャンピオンとしての片鱗を見せてくれました。1走というチームの流れを作る大事な役割を見事にこなしました。県内の強豪が揃った決勝の舞台でも大きく崩れることなく2走にバトンをつないでいきました。まだまだ上積みが見込めるこの1年生が1走をこなせるのは非常に大きいです。



今回は2走に陰山東洋を起用しました。本来は準エース格なのですがこの春は、まだ調子があがってきません。個人の400mでも関東出場を狙っていたのですが、まさかの準決勝落選となりました。それだけにこのマイルリレーに賭ける思いは強かったはずです。昨年のインターハイも経験しているように、このチームでは伊藤と並んで一番経験が豊富です。2走の混戦も大丈夫だと思いの起用でしたが、決勝では、前半ややもたつき7番手という後方から追いかける展開となりました。そのうえ最終コーナーから直線入口で前をいく学校と接触する場面がありヒヤリとしましたが、これを何とか回避すると、最後の最後でグイと伸び、一気に3位まで順位をあげました。



この時に埼玉新聞の記事にもあるように先頭の学校がバトンを落としたこともあり、3走の齋藤慶太(2年)は先頭集団でレースをすすめる楽な展開になりました。無理せず、大きく遅れることなく確実にアンカーにバトンをつなぐことが求められましたが、まさにその通りのレースをしてくれました。途中、先頭は譲ったものの、その選手をうまく利用し良いペースで走ってくれました。この齋藤も昨年秋は悔しい思いをした選手の1人です。そして、今大会も“4継”で無念の7位となり、このマイルでの雪辱を狙っていたと思います。堅実な走りで勝利に貢献しました。



アンカーの伊藤はこの大会は初日の400m、4×100Rと順調にレースを重ねていったのですが2種目目の個人出場を狙っていた3日目の200mの頃からやや膝の調子が良くない状態でした。したがって、このマイルのアンカーとして起用した準決勝・決勝も無理をしないで、とにかく出場権を獲るレースをしようと送り出しました。その決勝では思わぬ展開で、初めてといっていいほど、伊藤が楽な位置でバトンをもらえました。前半も無理することなく、後半も、彼にしてはまだ余力がある中でのゴールでした。



もちろん走っている選手は一生懸命ですし、応援している部員も必死です。しかし、ゴール前で見ていた私は勝つ時はこんな楽に勝てるのかと感じるくらいの余裕がありました。贅沢ですが、常にこういう展開であれば落ち着いて見ていることができます。報道にもあるように26年振りの優勝です、そして今大会、苦しんで、取りこぼしもいくつかあった中での最後の種目での優勝ですからうれしさも格別です。ですが、我々の目標はこの埼玉県の優勝ではありません。県で優勝することも当然ながら視野に入れてはいましたが、最終的な目標は新潟インターハイでのファイナルに出場することであり、そして勝つこと、すなわち全国制覇です。まだ、その第一歩を踏み出したに過ぎません。次の6月の関東では優勝は当然のこと、さらに記録を縮めていくしかありません。今のタイムではインターハイのファイナルはおろか、下手をすれば関東大会で落選の恐れもあります。残り1ヶ月、伊藤健太個人の400mとマイルリレーとしっかりとトレーニングを積み、最高の状態に仕上げ、関東突破を目指していきたいと思います。ここからの1ヶ月が勝負であり、最後の関門を突破する本当に大事な期間となります。すんなりいくとは思っておりませんが、苦しんで苦しんで、そして群馬県前橋市で行われる北関東大会を2種目ともに絶対に突破します。今後もどうぞ応援をよろしくお願い申し上げます。





武南高校陸上部に、これからも温かい応援をよろしくお願いします。

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