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学校法人 武南学園 武南高等学校

『ご冗談でしょう、ファインマンさん』塩嶋先生のオススメ

2020/05/30

私が紹介する本は『ご冗談でしょう、ファインマンさん(上)(下)』(R. P.ファインマン 著, 大貫昌子 訳)です。ファインマンは, アメリカ出身の物理学者であり, ノーベル賞も受賞しています。そのような物理学者の経験が, 自らの手で書かれたものが翻訳された本です。つまり, ファインマンという物理学者の生き様が分かる本です。

ファインマンは, かなりユーモアあふれる性格で, 好奇心旺盛なところもありました。例えば, 実験器具を自分自身の手を動かして修理をすることを楽しんでいました。また, 物理学者でありながら, 化学や生物学などの他の分野の研究, さらには絵画や音楽などの芸術にも取り組んでいました。さらに, 何かに取り組む際, 立場や状況関係なく, 「ダメなものはダメ」と批判的な意見を言うこともできる人です。勿論, 批判的な意見を言う場合は言い方には気をつけなければなりません。しかし, 科学を探究する際や, 何か問題を解決する際に, 好奇心旺盛, 批判的な意見が言えるという性格が功をなしていることが分かると思います。

さらにこの本には, 科学に取り組むとはどういうことかが載っています。例えば, 科学(皆さんにとっては理科科目)を理解するとはどういうことだと思いますか?用語の意味をそのまま暗唱できれば理解していると言えるのでしょうか?公式を単に覚えて数値を求められればよいのでしょうか?違いますよね。「これが答えだ」という決まりきったものはないかもしれませんが, この本を読むことでその答えが分かってくるでしょう。また, 理解することに困難が生じたときどのようにすればよいか, 科学を含め物事に取り組む姿勢とはどのようなものか, ということも分かってくると思います。

 

学校で理科を学ぶことに, 自分自身の価値を見いだせる本であると思います。たまに専門的な物理の話がでてくる箇所もありますが, そこは理解できなくても大丈夫です。上巻と下巻の2冊ありますが, 読んでみてはいかがでしょうか?