真に健全で個性豊かな人間教育の樹立

学校法人 武南学園 武南高等学校

2022始業式

2022年01月07日

三学期始業式 「先にお礼を」                          

                       武南高校 校長 本多 昇

皆さんおはようございます。そして、新年あけましておめでとうございます。

コロナ禍をはじめとして、おめでたくないこともあったかと思いますが、まずは、こうして元気に挨拶ができるということが何よりかと思います。私は、毎朝鏡に向かい「今日も良い一日ありがとうございました」と過去形で先にお礼を言ってから一日を始めます。馬鹿らしいと思うかもしれませんが、その日起きることをポジティブに受け止められ、より幸せを感じることができます。何か困ったことが起こったとしても、積極的に受け止め冷静に対応したほうが良い結果につながります。先にお礼を言っておくことはそのための心の準備です。今日は三学期のはじめです。初めにお礼を言っておきたいと思います。「素晴らしい三学期ありがとうございました」これで、この三学期が皆さんにとって最高のものとなるでしょう。

もう一つ、プラス思考の大切さの話をします。昨年の東京オリンピックのメイン会場「国立競技場」の設計をした隈研吾さんの話です。隈健吾さんは1964年の小学校4年生のとき前回の東京オリンピックの国立代々木競技場を見て建築家を志すようになったそうです。東大で建築を学び、大学院の時にアフリカでのフィールドワークで、家畜のフンと土や葉っぱで作られ、自然と一体化した建築、木や草と同じようにその土地に溶け込んでいる建築、この感覚の建物が日本で作れたらと思ったそうです。大学院を卒業して社会の仕組みや常識を知っておく必要性を感じて一般企業で6年間サラリーマンとして働きました。そのあと最先端の人間が集まる街で、グローバルな感性や考え方を身に着けたいと1年間コロンビア大学で研究員となりました。そのとき海外の人たちから日本建築について質問され自分でも勉強しているうちに日本の伝統建築のすばらしさを再認識したそうです。32歳で独立しバブル経済のなか売れっ子の建築家になりました。しかし、突然バブルがはじけ東京で決まっていた仕事が次々とキャンセルとなり、雲行きが怪しくなったころ、割れたガラステーブルで右手を切り大けがをしてしまい右手の機能はもとに戻らなくなったそうです。利き手に後遺症が残るとわかったとき、隈健吾さんはなぜかほっとしたそうです。そして「自分のなかに不自由な部分ができたことがありがたかった。自由自在に何でもできる全能な自分という錯覚から目覚めて、不自由な身体を意識すると、今まで見えなかったものが見えてきました」と言っています。バブルがはじけ東京の仕事が全てなくなるという試練も利き腕に後遺症の残る大けがも積極的に受け止めて将来に活かしてきました。隈研吾さんは、当初の計画が白紙に戻り再入札となった新国立競技場のコンペに参加しました。予算や工事期間等、条件が厳しい、巨大建造物「新国立競技場」をごくありふれた日本で一番よく流通している10.5センチ角の角材を利用して建てるという力に変えていったわけです。この話からも、どのように受け止めどのように考えどのように行動するかの大切さがわかると思います。

さて、コロナは再び感染拡大に向かっています。感染防止対策、特にマスク、手洗い、黙食の徹底をお願いします。3年生は学校を中心にした受験対策で最後まで頑張りましょう。1・2年生にとって3学期は意外とまとまった時間が取れます。文武創造です。トレーニングの時間を確保して確実に「できる、使える力」をつけ本番に強い人になりましょう。それでは、念のためもう一度、先にお礼を言っておきます「すばらしい3学期ありがとうございました」