真に健全で個性豊かな人間教育の樹立

学校法人 武南学園 武南高等学校

Exploration is Really the Essence of the Human Spirit.

2021/05/02

 

ロングホームルームの時間を利用して、高校3年生、2年生の理系、特進コースの生徒を対象に、マサチューセッツ工科大大学院への進学が決まった近藤先輩の講演会がありました。

これまで、色々な方に講演をお願いしてきましたが、これほどまでに生徒が話に惹きつけらる姿は…みたことがありません。

生徒たちに感想を聞くとこんな答えが返ってきました。

「近藤先輩の講演を聞いている時、私は一回も、まばたきしなかったような気がします。それくらい話が聞きやすく心に響きました。」

「先輩の話を聞いて『努力』とは?について考えさせられました。自分のやりたいこと、つきたい仕事のために努力している姿にあこがれました。頑張れるってすごく格好良いい。スケールが違うけど、自分も大学で研究するために本当の『努力』をしようと思いました。意識が少し変わりました。」

「自分には将来の夢が無くて、どんな大学に行きたいか考えられなかったけど、先輩が、ある日、映画『風立ちぬ』を見て夢ができたように、きっかけは色々なところに広がっているなと思いました。これからできるであろう自分の夢のためにも、今やっていることは1つも無駄にならないと思うので、ゴールを決めずにやっていきたいなと思いました。」

我々教員も、近藤先輩の話の中に出てきた「NASAの80歳を超える老人が宇宙を語る時の目は、5歳児か?って思えるほどキラキラしてた」という話に、教師となって、いつしか仕事におわれ、生徒たちとの関わり合いに胸をときめかせていた頃を忘れていることにも気づかされもしました。

先輩の講演のタイトルは、Exploration is Really the Essence of the Human Spirit. というものでしたが、『宇宙』ということへの興味関心がなければついていけないものではありませんでした。それどころか、誰が聞いても、置かれた立場で、自らの姿勢を振り返らせるものだったと思います。

「よ~し!私も!」と、受験を頑張りぬく力をもらえた3年生。たとえ、将来やりたいことが決まらないまま受験期に入った3年生であったとしても、志望校に合格した暁には、近藤先輩のように、自分のやりたい道をみつけ、努力できる人になろうって思えたはずです。2年生、1年生も、まず、今、武南でできる色々なことを経験して、自分の将来の方向性を見つけようと気付けたのではないでしょうか。そして、あらためて、武南を卒業した生徒達は、いくつになっても、目を輝かせて語れる何かを持っている人であって欲しい。そんな思いを強く抱きました。

感動していて、前置きが長くなりました。以下、近藤先輩の講演内容のダイジェストとなります。

近藤先輩は、サッカーがやりたくて武南に入ったきたと言います。選抜クラスに在籍するも、高校生活の中心はサッカー。2年で文系に進むか理系に進むかの決断にも悩み、担任だった増田先生に相談すると、「将来がはっきり見えていないのなら、理系がいいのでは?理系から文系への変更はできるけど、反対は厳しいぞ!」そう言われて、理系に進んだのだそうです。

部活では、同じキーパーのポジションのライバルと切磋琢磨する日々を送ります。2年の秋、練習中、キャッチしようとしたジャンプし、ボールを抱え込みながら転落、頭を強打し、記憶喪失になった近藤先輩は、部活を休まざるをえなくなります。その時、たまたま、つけたテレビでやっていた映画『風立ちぬ』をみて、飛行機の美しさに魅せられ、「自分も、こんな飛行機を作ってみたい」と強い思いが沸いてきて、そこから、九州大学宇宙工学科を目指そうと決意します。

自分の進むべき道がはっきりと見えた近藤先輩は、本気になって勉強と部活の両立に取り組みます。色々な勉強方法を試し、さすがに、1日2時間睡眠で勉強を始めた時は、親から、『頼むから寝てくれ!』って言われたそうです。

部活では、3年での公式戦では、ほぼすべてに出場し、同時に、朝早く来て学校で勉強するというスタイルを確立し、見事、九州大学に合格!成績優良賞にも輝き武南高校を卒業していきました。

大学に入ると遊んでしまい生徒が多いものですが、九州大学で、宇宙工学科にすすめるのは、工学部入学者180名のうちの30名という狭き門だったので、近藤先輩は、入学後、受験期よりも勉強したと言います。その結果、希望する宇宙工学科に進めただけでなく、九州大学生全体の2%に与えられる基幹教育奨励賞、九州大学学長賞を獲得、1年間100万円の奨学金を手に入れることができました。

2年次、念願の宇宙工学科に進み、宇宙に関する授業をネイティブの先生から直接受けることになった近藤先輩は、「やってやるぜ!」と意気込み、クラスの1番目立つところに座って授業を受けたそうですが…これが、ネイティブの言っていることがまったくわからなかったそうです。センター試験で英語は満点近く取っていた…のにもです。先生にさされ、何も答えられず、みんなの前で、恥をかき、嫌な汗を流したのです。自分の英語力のなさを痛感した先輩は、すぐに問題解決をはかります。カナダやオーストラリアへ短期語学留学を実行したのです。

九州大学にはおもしろい仲間がたくさんいたそうです。部屋中模型でいっぱいの小さい時からの飛行機オタク。お父さんがJAXAで働いている筋金入りの宇宙好きの友人。飛行機や宇宙が好きだと思って専攻した学科だけど、やはり自分は動力機械がスキと気づき方向転換をする仲間。そんな中で、近藤先輩は、当初、頭に描いていた飛行機を作るということよりも、重力に邪魔されない『宇宙』により惹かれている自分に気づいていったそうです。『宇宙』への思いが決定的になったのは、アメリカ大使館のプログラムでサンフランシスコのシリコンバレーを訪問した時、他のメンバーが日本へ帰るのに、一人だけアメリカに残り、思い切って、アメリカの宇宙開発の拠点を巡る一人旅をした時だそうです。そして、ケネディ宇宙センターに着いた、まさにその日、偶然にも、宇宙船の発射を目撃することができたのだそうです。発射時の、ロケットの放つ爆音の凄まじさ、燃焼する光のまぶしさ、宇宙に向かって突き進むロケットの神々しさに心の底から感動したのだそうです。

そして、大学卒業が近づくにつれて、『現実』ということを考えて就職していく仲間もいる中、先輩は、4年生の時に、1年間、交換留学生としてミシガン大学へ留学します。

ミシガン大学を留学先に選んだ理由は、アポロ15号の乗り組員がミシガン大学出身だったということだそうです。ミシガン留学中、語学のスキルアップ、大学生としての友人との交流、アメリカという国の大きさ、なども楽しみながら、大学の授業に取り組みます。日本の大学とは違い、参考文献を1日に120ページ読んでまとめるという課題もあったそうです。そんな日々の努力もあって、先輩は、留学中に研究論文の執筆を学会に3本、ジャーナルに1本仕上げ、スタンフォード大学のサマーセッションにも参加しました。

留学中の先輩のがんばりはもちろんですが、アメリカで各分野のすぐれた教授と出会えたことも、先輩の大きな財産になったそうです。「こんな頭の良い人がいるんだ」と驚かされ、一緒に研究していることをうれしくも思える大学の先生方が書いてくださった大学院への推薦状のおかげもあって、先輩は、MIT,スタンフォードを含むアメリカの宇宙関連の6大学の入学を許可されました。

また、大学院への資金面は、船井情報科学振興財団から奨学金を支給していただけるそうです。こちらの財団のサイトには、これまで、財団から援助を受け海外で活躍されている方々の留学報告書が数多く掲載されています。色々な分野で活躍する先輩のレポートは、これから続くみなさんの知的好奇心を十分に満たしてくれると思います。是非、のぞいてみてくださいね。

船井財団に寄せた近藤先輩の研究報告記事はこちらから

やりたいことをみつけ、純粋に努力し、成果を上げ続けている近藤先輩。先輩のパーソナリティーのせいか、少しも自慢話には聞こえてきませんでした。むしろ、努力する姿のカッコよさ、好きな『宇宙』を語るキラキラ感ばかりが目立ちました。最後に時間をとった、生徒との質疑応答での回答も的確で、近藤先輩の武南での pay it forward は想像以上の余韻を残し終わりました。

講演を聞き終えた感動をどう表現したらいいのか?教員も的確なことばを各自探しているようでした。担任だった濱野先生が

「普通の子だったんですよ。ほんとうに普通だったのにね。…………。でも、話を聞いた後、『今日の私は目をキラキラさせて授業してたかな?』って反省するようになりました。」

とおしゃっるのを聞いて…こういう生徒が育つ温かい土壌がここにはある。そう思えました。

「宇宙飛行士…なんて…考えてるの?」と増田先生が尋ねると…

「いえいえ、宇宙飛行士になる人って、もうオーラから違うんです。何があっても落ち着いて対応できるというか…。僕は、将来は、NASAで働きたいと思っています。MITからNASAに進んだ人はこれまでに4名いて、すでに、その方々からのアドバイスも頂いているので、とにかくMITでがんばりたいと思います。武南生がアメリカボストン研修MITに来ることがあれば、お迎えしますから…声かけてくださいね。」

 

感動し過ぎて、どう自分のことと捉え、言語化すればいいのかから考えさせられる素晴らしい講演でした。この講演の模様は埼玉新聞HPでも紹介していただいています。ご覧下さい。

 

圧倒的なスケール感の違いからか、講演直後、「先生!近藤先輩は、本当に武南生だったんですか?」とか言う声が聞こえてきました。1日時間をおいて、あらためて、生徒達に感想を文字にしてもらいました。

 

<生徒が寄せてくれた感想集です。>

先輩の話を聞いて、海外留学に対する考えが大きく変わりました。海外に行ったこともなく、未知の世界なので、話を聞く前は、絶対行きたくないって思っていました。が、海外研究機関の素晴らしさ、海外の人々の考え方など、今まで全く気にしなかったことが、今回のお話を聞いて興味がわいてきました。

 

英語がある環境に行けば約3か月~半年ぐらいで英語が話せるようになると聞いてビックリしました。

 

大学は海外にもあるということに気づかされ、将来のことももっと視野を広げて自分のやりたいことに熱中できたらいいと思った。

 

とてもおもしろかった。自分もすぐあきらめるのではなく、もう少し頑張って勉強しようと思った。

 

航空宇宙工学科志望です。先輩を見習ってがんばります。

 

ひとつのことに打ち込むことの素晴らしさ、かっこよさがわかった。僕もはやく打ち込めるような道をみつけたいと思った。これまで以上に勉強がんばらないといけないという気持ちになった。

 

勉強に対して全く自信がなかったが、話を聞いて、自分に自信をもつことが大切だと感じた。可能性を広げられるのは自分だということを改めて痛感した。

 

サッカー部に入りながら九州大に合格してすごいと思った。

 

話を聞いて、多くの人と関わったり、多くの体験をすることが運につながったり、自分の将来を変えていくんだなと思いました。自分も多くのことに挑戦していきたいです。

 

1つの目標に向かってとことん突きつめることをしていて、とてもかっこいいなと思った。自分がやりたいことをみつけて努力したいなと思った。

 

改めて、パッションの大事さに気づくことができました。

 

いつか近藤先輩を超えたいと思います。

 

先輩の話を聞いて「努力」とは?について考えさせられました。自分のやりたいこと、つきたい仕事のために努力している姿にあこがれました。頑張れるってすごく格好良くって、結果がちゃんと出せるように努力することってとても難しいことだし、どうしても甘えてしまいそう。スケールが違うけど、自分も大学で研究するために本当の「努力」をしようと思いました。意識が少し変わりました。

 

やりたいことがあっても、心の内に秘めているだけではだめで、行動に移さなきとだめだと感じました。

 

今まで自分に夢がないことで他の仲間から遅れをとっているように感じていましたが、先輩が夢にめぐりあったのは運が良かったと言っていたので、焦って夢をみつけようとしなくても、目の前のことに集中すればいいんだって、励ましのように思いました。

 

目標をみつけるためには色々なことを経験することが大切だと思いました。

 

どんなにすごい人も、みんな最初はぼくらと同じ高校生だったのかと思いました。そして自分にも可能性があるのだということが分かりました。

 

マサチューセッツにも行っても成功するんだろうな~がんばれ!!先輩!!

 

「大学でまなんでいくうちに好奇心の対象が移った。」「大学に入ってからも学ぶことが大切」ということがとても印象に残った。結局、受験のためだけでなく、夢に向かって努力し続けることが大切なのだと思った。

 

とてもカッコイイと思いました。目標を持つことは大切で、目標に対して努力を続けることの重要さを知りました。英語が大切だと言っていたので、自分も英語を頑張ろうと思いました。

 

話しをしている先輩はとても楽しそうで、夢をもつこととそれに対する熱意を感じられた。

 

夢を追いかけることの大切さを感じました。サッカー部でとても忙しかったはずなのに合格できたのはきっと夢に対する強さだと思いました。願えば叶うわけではないけど、自分もいまある夢、なりたい職業に向かって日々勉強しようと思いました。

 

まだ色々な道が選択できる時期なので、自分のスキなこと、興味をもったことを大切にして可能性を広げていきたいです。

 

興味を持ったことをそのままにせず、夢や目標に対して挑戦されている姿に感動しました。私も身の回りの多くのことに興味を持って目標をみつけて努力を重ねられるようになりたいと思いました。自分で選択肢の広げられるように計画的に学習したり気になることを調べていきたいです。

 

私も将来宇宙に関する仕事に就きたいと思っています。先輩の話を聞いて、自分の夢を叶えるためには足りないということを実感しました。自分の視野の狭さをしることもできました。

 

高校で夢をみつけて、努力し続け、大学でも学びたい分野を学ぶためにまた努力して、アメリカまで行って自分の夢をかなえようとする姿に感動を受けた。自分も早く夢をみつけて、自分のために勉強に夢中になりたいと思った。

 

夢がある人とはこんなにもキラキラとして輝いているんだなっと感じることができました。とりあえず、何でも先入観で決めつめずに挑戦していきたいです。

 

好きなことに向かって頑張り、夢を叶えることは楽しいものなのだと思いました。目標を高くもつことは未来を切り拓く重要なことだと思いました。

 

「宇宙しかない」と思った後の、勉強に一途な姿勢がカッコいいと思いました。行動力、前向きな姿勢にも驚かされました。英語ができないと気づいた後、普通ならば折れてしまいそうだけど、「これはどうにかしなければ」と考え、留学したり、自分の苦手なところをそのままにしておくのではなく、自ら変えていくために行動する姿に、とても尊敬の念を抱きました。

 

先輩の話を聞いて、私たちにもこれからたくさんの可能性があるんだということを感じました。先輩の人生の転機が「風立ちぬ」だったように、私たちも色々なことを経験し、挑戦し、それを充実した人生につなげていきたいと思います。

 

近藤先輩 ありがとうございました!MITで、思う存分、宇宙に熱中してください!

応援しています。

これからも、武南と武南の生徒たちと keep in touch!でお願いします。